技術の進歩はとどまるところを知らない。
建築では建物を大地に結びつけるため鉄筋(鉄の棒)ボルトを基礎コンクリートの打設時に埋め込んで硬化後その上に木の土台を載せ、貫きナットで固定する。かつてはその鉄筋を埋め込んでおかないと後からではボルトの確実で高い強度の固定が困難であった。
今日では多少高価ではあるが後からコンクリートにドリルで穴を開け、そこに鉄筋ボルトを差込み接着剤で固定する方法でも埋め込んでおいた場合と変わらない強度を得ることが出来るようになった。接着技術の進歩のおかげである。
建築設計で新しい技術を試みるとき不安を覚えたら大概自らが試してみてある程度体感的確信を得てから実行するようにしている。
まさか自らの肉体で実験することになろうとは思わなかった。
十数年まえに治療したブリッジの義歯がおかしくなりその治療にインプラントを採用した。骨に穴を開け金属を埋め込みそれに義歯を固定する治療方法である。自らの肉体を鉄筋(チタン)で固定するという建築的実験になってしまったのである。これは肉体の建築化かと思ったが、むしろこれは人間サイボーグ化ではないかと思った。
技術はジャンルを超えて進歩していく。(藤原)