今年の梅雨は雨の日が少なく工事では大分救われた現場がありました。この雨は工事だけでなく設計デザインにも大きく影響してきます。屋根に降った雨を軒樋が受けその雨を数箇所に集めて縦樋で地中まで導きます。建築の外観は軒先で決まるとも言われ設計者が苦労するところです。雨樋は工事の最後の頃に取り付くので取り付いてアチャーという経験は誰しも持っているものです。
私どもが設計する最近の建築では外観の顔部分の軒樋を隠して処理することが少なくありません。時には縦樋も壁の中に上手に隠すことがあります。ただ縦樋を隠すには難しいことが多く特に軒樋から縦樋に導く斜めの勾配のついた樋が案外目立つのです。設計事例を注意深く見ていただければそのことが良く理解できるかと思います。見せてよいデザインはそれなりにやりようがありますが見せないデザインはまさに隠れた苦労なのです。
右の写真は縦樋と斜めの勾配の樋を省略する手法の一つで最初に実験した時のものです。また、事例の昇竜木舎最後の写真にある屋根最下端の左端の軒から10cm程出ている黒い筒はその後の応用例です。ちなみにこの屋根最下端に見える板状の左端から右端まで全てが軒樋です。(藤原)