原油の高騰は住宅の設計を変える。

以前今年の建築費は1?2割原油高のせいで上がったのではという話をしました。

もう一つ暖房計画も変えつつあります。これまではランニングコストは灯油が一番安いと明快にいえました。ところが深夜電力でかつ割安プランの最もお得な電気料金プランですと現段階では確実に灯油が負けます。しかも普通の暖房機は夕方寒くなってスイッチをいれて、寝る時切るというものですが、深夜電力ヒーターは11月にスイッチを入れて3月に切るという考え方です。その間、留守であろうが旅行に行こうがかまわず暖め続ける暖房です。暖めるものというより冷やさない暖房といえます。全体暖房の考え方としては理想でもあります。住宅の基礎下の地中にヒーターを埋め込み家全体を下から暖めるものまであります。それでもどうもランニングコストは今の灯油価格より安いらしいのです。

このからくりはどうも料金プランにあります。最も安いのは昼間の1/3程ですから灯油も負けます。これは一過性のことと思っていましたが確かに灯油の価格はそうです。しかし深夜電力の安さは、電力会社の電気を使う社会である限り変わりそうにありません。なぜなら発電所は社会に電力を供給するからには生産構造上夜も休むわけにはいかず電気をつくり続けなくてはなりません。昼に電気を必要とする限り深夜にも使ってくれるところを探さざるを得ないからです。だから安くしてでも供給先をさがしつづけるしかないのです。

何かフェアーな比較でないと思っても現在のエネルギー構造社会ではそうです。だからエコな生活をしようとしたら深夜電気を消費することという変なことになるのです。

多分この構造を打ち破るには自家発電による送電線ロスのない、かつできれば自然エネルギー利用でしかも効率のよい機器の開発による電力会社に頼らないエネルギー社会にするしかないのではと思えます。

このブログは別に東電の要請で書いているのでも、東京ガスのコージェネレーション部署からの入れ知恵でもありません。もちろん灯油代がもったいないからと家人に暖房のスイッチを切られたからでもありません。社会の不条理への技術者の純粋な叫びです。(藤原)