石巻・気仙研修旅行?

プレカット
ここからは工事現場での組み立てに必要な木材加工の工程です。
ここでの工程も基本的にはコンピューター制御されており、加工内容を作図入力するコンピューターと加工機械を制御するコンピューターが連動して全体で機能し、加工の難しい三次元の形状にも対応しています。

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プレカットというシステムが無かった頃は、一本一本大工さんが現場で加工していたのですから、住宅建設業界にとっては、コンピューター制御されたプレカットという技術はとてつもない進歩です。
説明してくださった作図入力をしている工場の方は、使っているコンピューターは非常に高性能で高価なもので、高級車を乗り回しているようものです、とおっしゃっていました。現在の日本のスピーディな住宅建設の現場は、そんな高級車を丁寧かつ迅速に乗りこなす方に支えられていると言っても過言ではありません。(ちなみに作図作業は加工機と連動しているためミスは許されません。スタッフの方のデスクにも高級車をミスなく乗りこなすための自戒のメモがいっぱい貼ってあり、緊張感が伝わってきました。)

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ドイツ生まれのフンデガー

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上の写真は作図された図面をもとに加工を行なう加工機です。その名も「フンデガー」。ドイツ製の機械らしいのですが、いかにもドイツっぽい名前です。色も他に機械に比べて独特で、ミッフィーちゃんやモンドリアンが生まれたオランダのデ・ステイルを思い出してしましいました。ゲルマン人はこういう色彩が好みなのでしょうか。

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少し小さくてわかりづらいですが、写真右に見える小屋の中で作業している方は、フンデガーを自在に操る増子さんです。フンデガーという機械そのものが、日本でも数十台しかないという高性能な機械で、つまりは難しい加工を担っていているのですが、わたしどもの事務所の今までの集成材FM工法の加工もそれを操る増子さんの腕によるところがかなり大きいです。

今回は実際にお会いして、どのような加工ができて、どのような加工が難しいかというお話ができ、実感を持って非常に勉強することができました。

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働く木造建築

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やはりというかどうしても、加工工程だけはでなく工場という建物そのものにも目が行ってしまいます。最近では工場建築というと、構造的合理性や施工性から、鉄骨によってつくられる場合が多いのですが、山大さんの工場はいくつかが木造によってつくられていました。

上の写真は、かなり長いスパンを一本の木の梁で支えているためサイズは非常に大きく、棟木にいたっては梁せいが1mほどもあり、見たこともないようなプロポーションをしていました。若干強引にも見えますが、それだけに木造への強いこだわりを感じました。

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二つ目の写真は、一つ目と違い、細い部材を何本も組み合わせて荷重を分散させながら長いスパンを支えています。

鉄骨が高価だった時代の工場によく見られる構造形式で、細い部材の集合でできているので、一つ目に比べて全体に繊細さがあり、見ごたえがあります。鉄骨でも似たようなかたちの構造形式を見かけますが、よく見ると鉄骨造とはだいぶ異なり、木造らしいディテールが面白いです。

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最後は少し余談となってしまいましたが、今回山大さんの工場を見学し、スタッフの方とも直接会ってお話できたことは、いろいろなことを実際に肌で感じることができたという点で得るものが大きく、これからの設計の上で、特に感覚的な部分で勉強になったと感じております。
ご協力頂きました山大の皆様、本当にありがとうございました。

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<?へ続く>