パリ中心部から車で30分ほどの場所にヴェルサイユ宮殿があります。セーヌ沿いからブローニュの森に入るまではいかにもパリと言う趣なのですが、森を抜けるといきなり景色がフランスの田舎町に一変します。これが映画とかに出てきそうな「いかにも田舎町」という感じで、本当にこういう町ってあるんだと当たり前と分かっていながらも妙に感慨深いものがありました。
さて、ヴェルサイユ宮殿ですが、門からして金箔が貼られピカピカしていて絢爛豪華です。何となくバッキンガム宮殿(過去唯一行ったことのある宮殿なので)と比べてしまいますが、バッキンガムはやはり現役だし固いというか税金の無駄遣いをある程度控えてますという感じがしましたが、ヴェルサイユは若干ふしだらな感じがするほど「贅」の字が似合う、ある種はじけた建物でした。観光客もさすがに多く、今回の旅行で一番人口密度の高い空間となっていて、ガイドに何とか付いていくという状況でしたが、映画「マリーアントワネット」で見たままの光景を目の当たりにして、実際使っていた当時の情景を思い浮かべると、生活は結構面倒なものだったのではないかと思えてきました。私はここに住めと言われても御免こうむる。
というわけで、内部に関してはある種予測の範囲内でしたが、後ろに広がる庭が非常に魅力的でした。庭と言うか、森林公園といったところでしょうか。人もだいぶ少なくなり、いまにも森の中から狩猟帰りの貴族があらわれそうな気配です。自転車のレンタルもあるほどの広大さで、私は時間が無くほんの入り口しか見てませんが、空の大きさと適度に手が加えられた様がいかにも領地という感じで、生まれて初めて「王」という存在に現実味を覚えました。ただ、なぜか猫のトイレの臭いが漂っていました。