フランスの文化遺産として最も早くから指定されているうちの一つであるモン・サン・ミッシェルは聖堂、修道院、要塞、監獄と様々な用途で使われ続け、その形態自体も変遷を続けた非常に特異な建築物です。非常に荘厳な造りですが、そもそも建てられたきっかけは、オベールと言う司教が神様(すなわちミッシェル)のお告げを2度にわたって無視(というか信じなかった)し、いい加減にしろと頭を小突かれて慌てて造ったということです。実際のところ誰が設計して誰が作業したかはわかりません。遠くから見た幻想的な写真はよく見ていたのですが、実際に入ってみると、まずは江ノ島のような商店街に人だかりという光景に出くわします。ちょっと思っていたのとは違う風情ですが、ここにはレストランも多く、有名なオムレツやシードルの他にも羊料理や牡蠣なども楽しめます。もちろんワインとチーズもあります。有名どころではないレストランに入りましたが、それなり美味しかったです。で、商店街を抜けてどんどん登っていくといよいよ修道院入り口となります。タイミングもあるのでしょうが、この辺に来ると何故か人がぐっと減り、急に厳かな雰囲気になってきます。要塞として使われていたと言うのも納得の、両側に建物が屹立した通路を登り、一気に高い位置にある広場に出ます。ここからは周囲が一望できて非常に気持ちよさそうなのですが、何故か猫のトイレのような臭いが(外なのに)立ち込め、小さな虫もぶんぶん飛んでいるので思い切り深呼吸と言う気持ちにはなれません。
さらに進んでいくと、礼拝堂や食堂など、修道院らしき部屋が続きますが、意外な雰囲気の中庭もあったりします。まさかこの建物内で植物に遭遇するとは思いませんでした。
部屋ごとに表情が様々で、かなり暗い部屋もあれば広々として清々しい部屋もあり、でかいだけあって飽きさせない造りになっています。なかでも気に入ったのが下の写真の太柱の礼拝堂と呼ばれる部屋で、微妙な暗さと所々の明るさ、ベンチの配置などが丁度良く、近所にこんなところが合ったら骨休めに良さそうです。
昔、満潮時でも渡れるようにと造られた一本の道の周りに砂が堆積し、今や満潮時でも道路以外も陸続きとなってしまっているようです。この砂を除去してかつての島の姿を取り戻そうというプロジェクトが進行中です。