保存される建築物‐2

先日のブログに、重要文化財に指定されている建築も展示されていると書きましたが、その中のひとつが「東松家住宅(とうまつけじゅうたく)」です。
明治20年台後半まで油屋を生業とし、その後、昭和の初めまで堀川貯蓄銀行を営んでいたとされるこの住宅は3度もの増改築の末 明治34年に現在の形になったそうです。
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江戸時代末期には平屋建てだったそうですが、明治24年以降に改築と2階部分の増築を行い明治34年に3階部分の増築を行ったというこの住宅は、入り口を入ると3層の吹き抜けの土間が広がります。これは、2・3階にある奥の部屋まで光を取り入れる為と、上階に住む主人が1階の店の様子を把握できるようにとの工夫だそうです。

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今で言う店舗併用型住宅ですので、店舗のほか居住スペースもあり2階には茶室も用意されています。吹き抜けに面した廊下はあたかも路地のように計画され、茶室手前の待合に入る戸の壁側には半円形の障子の入った壁があります。
客人が待合に入るときに入り口の戸を開けるとこの障子に戸が掛かり、半円形の障子の裏手にある部屋に光が届かなくなることで部屋で待っている主人が客人の到着を知ることのできる仕組みとなっています。
とは言え、半円形の障子がある手前には引き違いの障子があるため客人の到着はそんなことをしなくても判るのですが、主人の遊び心がふんだんに盛り込まれておりとても面白いです。
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現在では木造3階建ても一般的になっていますが、現行の建築基準法で準防火地域内での木造3階建ての建築が可能になったのは1987年のことです。
3階建てにする理由は土地の有効活用という目的が多く、また、構造的な理由もあり3層の吹き抜けを設けた木造3階建ての住宅を見ることは無いように思います。
明治時代は3階建てにする理由も現在とは大きく異なり、とてもダイナミックで贅沢な空間構成となっていました。