新型コロナウィルスで考えたこと6「アベノマスクと裸の王様」

 日本の全所帯に布マスクを2枚ずつ配布する、という国の長たる総理大臣の自慢ありげな発言が、様々な批判や冷笑を浴びました。確かに目の粗い布マスク2枚で何の効果を期待するのか、400億円以上もかけて、そんなことより国がやるべき重要なことがたくさんあるでしょう、という批判のようです。それはいうまでもないのですが、ここでは専門家でもないのでその是非は口にしませんが、あのようなことを、てらいもなく発言する安倍さんは、やはり裸の王様になっていることをここでも露呈したように思われます。まともな忠告や諫める側近や官僚がいないのか、誰の意見も聞こえなくなったのか、益々不安になりました。

 それと批判している側の立ち位置も気になりました。批判する自分は観客席にいるのか、グランドに立ってするのかで違ってきます。どちらもアベノマスクの非をあげつらうのは同じですが、観客席から批判する人は被害者としての物言いで、簡単に突き放すだけですが、グランドに立っていう人は、プレーヤーとして、グランドで起こっていることはなんであれ、自分にも責任があるとのではという思いがあり、非を上げつつもそのような長を生み出しているのは自分等であるという、加害者の観点というか、忸怩たる思いがそれとなく感じられます。職業柄自分には加害者側に立ってしまう傾向があります。

 設計者は建築の出来上がりに関してはどんな問題であれ、逃げられません。直接の因果関係での責任はないにしても、出来上がっていく全てに関わらざるをえなく、そのような結果を生み出した加害責任の一端は必ずあります。このような職業に関わってきたせいで、何の場合でも、何がいけなかったのか、どうすべきだったのか、とつい加害者の視点に立って見てしまう性壁があり、アベノマスクへの批判も、自分などがどうにかできるわけでもないのに、どうするのが最適だったのか等、ついしょうもないことが気なってしまいました。