今日、建築施工者や設計者の紹介サイトが花盛りです。これまでも紹介機関は多数存在していましたが、ネットでの紹介サイトはその比ではありません。私どもにも登録を促す誘いが毎日のようにあります。そのいくつかに無料なら、と登録していますが、やはり紹介サイトは罪作りだと思われます。単なる紹介で、その運営費をサイト内の広告料収入等で賄っているなら許せます。しかし、罪なことは、表には出ませんが、建築施行者が決まったらその施行者から、工事費や販売価格の10%前後の紹介手数料の徴収を条件にしている場合が少なくないことです。設計者の紹介でも似たようなものです。それら手数料は結局、建主の支払いから徴収されます。設計者から見るとその10%があれば予算上諦めざるを得なかった建物仕様が数多く実現できたのに、と口惜しくなってきます。
次に罪なことは、登録者数を売りにするため、各設計者や施工者の少しの情報を数多く掲載しようとするので紹介が薄っぺらになり、創られた建築の感触や関わった者達の想いが現れにくく、露出度や目に着く受け狙いの表現が決め手にされがちです。場合によってはサイトの掲載順位が広告料等で左右される仕組みであったりします。家づくりの本質的な価値づくりから遠ざけ、多様な可能性を、紹介サイトの薄っぺらで平準な価値観の中で判断できにくい状態にし、広告費等で選択させる仕組みになりがちです。正直、紹介サイトは人の褌で相撲を取ろうとすることも不愉快ですが、結局、資本のある者が益々収益を上げる社会構造を補強し、現場でものづくりに汗する者をないがしろにする社会構造にしていることが許せない気がします。
上手な紹介サイトの活用は、紹介されてある建築施工者や作品名又は設計者名を見つけ出し、その者のサイトに直接飛んで、多くの情報や考え方からじっくり、自分に合った設計者かどうか、見極めることです。その上で、労を惜しまず、直接会うなり、ズームなりで、話をしてみることです。殆どの設計者は相談に直接来てくれる方を無料で歓迎するはずです。設計者は紹介サイトでの選択より、直接見出してくれることが嬉しいのです。また、設計者の重要な能力の一つが、実は依頼者の話す言葉や行為から、その奥にある意向や切実性をどこまで汲み取れるかにあるからです。それで設計する内容に大きな差が生じてきます。紹介サイトの仕掛けに惑わされず、活用する方々の賢明な見識に期待しています。(藤原)