「暖かくなった頃に候補地を見に行きましょう」昨年の始めのことでした。
現在、名古屋住まいの建て主は、出身の大船渡近くということで、釜石市へ移住しようと、一緒に土地探しが始まりました。 土地探しの条件は、自然が豊かで三陸鉄道沿線の駅近く、浸水被害のない土地。土地の予算は500万円。予算と希望が明確なため、あまり時間を要さず候補は絞られました。
この土地は市街地ということで広すぎて割高で、何より自然が少なすぎるのも難点でした。
ここは価格的はいいのですが、ちょと土地の広さが足りず、川沿いで津波が溯上してくる可能性もあり、パスしました。
ここは隣家が迫ってくる感じで、接道が坂道と、東西からの陽ざしが少し遮られそうで、色々難点がある感じがして、価格も今一つでパスしました。
広さと環境はまあまあですが、大きな通りに面していて車の出入りに注意が必要です。価格が少し予算オーバーで、店舗等なら大きな通りがメリットでしょうが、自宅の車の出入りにはむしろ危険に作用しかねないとやはりパスしました。
ここは、隣の店舗らしきものが気になったのと、ここまで津波が来たので嵩上げした土地になっていて、大きな通りに面しています。嵩上げしたとはいえ、海の近くで前回ここまで来たということがやはり不安で、他を当たりたいとなりました。
この土地も少し広すぎて価格が予算オーバーになり、津波が来ない高さに嵩上げしていると言われてもやはり不安で、他を当たりたいとなりました。
この土地は提供者がいれば、釜石市が移転先用として造成工事を行うもので、未だ売りに出されてない土地でした。現在釜石の人口が減少していて、実は用意した土地が売れず困っている状況で、希望者がいれば県外者であっても分譲しているとのことでした。
ここは回りの自然環境が申し分なく、要望価格に合わせて、北側の土地60坪を提示されました。未だ造成工時用の事務所が敷地内に建っていました。西側の擁壁も釜石市が管轄して行ったもので、安全性は担保され、地耐力試験のデータもありました。
全6物件を見て回ったなか、ここがいいということになり、給排水も引き込み済みで、500万円ということでしたので決定しました。
その後プランニングによりいろいろ検討してところ、建て主は平屋建てが希望となることから建築面積が広くなり、庭の南北方向の距離が十分とれないうえに、もし南に二階建てが建つと、冬至に部屋まで十分な日差しが確保できず、平面計画が難しくなることが分かりました。さらに屋根に太陽光発電と太陽熱給湯のパネルを載せる計画もあったことから、それらにも不利に働きます。未だ売りに出してないならと、南側の土地に変更と、建て主からもう10坪増やしたい、という要望を申し入れたところ、それも了承いただきました。但し、10坪加算分と、南側の土地に売主さんが保存のため植えてあった庭木の植え替え分の30万円とを加算し、計584万円+仲介手数料35万円での契約になりました。
周囲は見渡す限り写真にある山々に囲まれ、自然豊かな土地です。海は近いですが高台にあり、万が一の際の津波は全く問題ありません。海にも駅にも歩いて行ける距離です。
土地探しは、インターネットのみの検索では出会えない、地元の不動産業者に眠っていることが多々あります。私たちは建て主の希望の条件と住まい環境や購入可能金額、そしてなにより建物が建った時に安全で心地よい場所に出会うため、とにかく情報を集めます。今回の土地も、高低差があるものの2m以下の高低差であること、また造成工事への安全性も確認できたこと、そして部屋から望む景色が気持ちのいいものとなることが想定できたこと等から決定に至りました。
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▶土地探しの 隠れ常識 10カ条
こちらの土地での計画は実施設計中で、まもなく着工です。