別荘ギャラリー

冬の 別荘


「 別荘 」は、これまで富裕層など特殊な方が持つものと思われてきました。
しかし誰もがコロナ禍やリモートワークを経験して、日常の住まい一つだけでは、暮らしを充実させることが難しく、自分の生活を広げ、客観化して余裕を生み出すために、旅行とも少し違う、もう一つ違う空間というか世界に身を置いて、時々過ごすことが必要ではないか、と感じ始めた方が増えてきたように思われます。


そんな物足りなさを覚えている方や別荘等を考えている方の参考に、これまで私共が手掛けてきた多様な別荘を、ギャラリーとしてまとめてみました。

毎日暮らすわけでもないので、皆さん自分の目的に合わせ、自由につくられることが多く、決まった形態はありません。でも多様な中にも目的によって、「4つのタイプ」に分類することができ、そのタイプごとに表示しています。


目次

別荘 の4つのタイプ

1.週末住宅
  週末等、時間があるときにリフレッシュのため、快適に過ごせるようにした週末住宅

2.ベースキャンプ別荘
  レジャー等に出かける基地として最低限の機能と広さを備えた、ベースキャンプ別荘

3.敷地内(近隣)別荘
  毎日暮らす住まいの隣に非常時や趣味等好きことをするための、敷地内(近隣)別荘

4.終の棲家となる別荘
  将来永住する予定の住まいで、終の棲家となる別荘

 


尚、個別の別荘をより詳しく知りたい方は、当サイトの設計事例や当社著作の「美しく住まいを整えるデザインのルール85」を参照ください。もし見当たらない場合は直接私どもにお問い合わせ下さい


1.週末住宅としての 別荘

「軽井沢の家」

 住まいから電車で1時間、車で1~1.5時間で行ける軽井沢にあり、駅から歩いて20分の所に建つ別荘です。建って20年程ですが、今でも月一ぐらいの頻度で活用されています。

「軽井沢の家」外観 デザイナーズ別荘 集中豪雨、湿気、防犯の対策のため、高床にしている週末住宅 別荘


計画的配慮:敷地までの道路が敷地に向かって少し下っていることから、集中豪雨での雨水の侵入が心配されました。その雨水対策と防犯、及び軽井沢特有の湿気対策も兼ねて、居住部分を二階に持ち上げて作っています。

仕上げと構造を兼ねた木製構造材(厚み120㎜×幅450㎜の集成材)を内外表しで積み重ねた壁式構造にすることで、木材の調湿機能が十分に働き、夏の多湿や冬の過乾燥を和らげます。

ログハウスの場合は、材の膨張収縮で時間が経つと木材と木材の間に隙間を生み出しますが、この建物に採用しているFM工法では庇を大きく出し、鉄骨プレートで材の端部を壁内部で押さえこむことで隙間ができないように配慮をしています。

「軽井沢の家」外観 デザイナーズ別荘 集中豪雨、湿気、防犯の対策のため、高床にしている週末住宅 別荘


一階は、ピロティ―として開放していて、電車で来た時の足として使える車を置けるガレージにしています。二階の居住部分の南側外部には、すぐ出られ食事もできるデッキスペースを設け、その上にはガラス屋根をかけて、小雨でも外気を楽しめるようにしています。

周囲に木々が多いので、屋根の樋は木の葉が詰まるので敢えて設けず、庇を大きく出して、地面に設けた砂利を詰めた雨落ちの溝に雨水を落としています。日常的に住んでいない別荘の場合は、メンテナンスをなるべくしないで済む工夫も必要です。

「軽井沢の家」リビング前のデッキ デザイナーズ別荘


敷地の南側に小川が流れ、その前にゴルフ場の芝生畑が広がっています。それをお風呂に浸かりながら眺められるように、浴室の南面は大きなガラス窓にしています。居間の隅には暖炉を設けてありますが、暖房はファンコイルユニットで温風を床下全体に回して巡回させ、二階床全体を暖めるようにしています。寝室は二室だけですが、キッチンの上にロフト階を設けて、多くの客が来た時に対応できるようにしています。

「軽井沢の家」暖炉があるリビング デザイナーズ別荘
リビング・暖炉

「一不異二亭」(アンフィニティ―)

傾斜地に建築した別荘

住まいから二時間ぐらいの和田村にあり、陶芸の趣味もあったので、近くに電気釜を置いた小屋を建て週末を楽しんで使われています。春休みの頃は、教え子たちとの合宿の場所にも活用されているようです。

「一不異二亭」 外観
傾斜地に建てた デザイナーズ別荘
「一不異二亭」 外観
 デザイナーズ別荘
道路から二段で内部に入る高さですが、敷地奥の方は下がっていて基礎で床面を持ち上げています

計画的配慮:
敷地の真ん中を山の上から流れてくる小さな川が流れている、傾斜地に建っています。
敷地を平らに造成しようとするとかなりの費用を要するので、敷地はいじらず傾斜のままとしています。基礎は小川を跨ぐ橋脚のように適当な高さに立ち上げ、その上に木造で床版を構成し、それを土台にしています。

関連ブログ記事:▶難しい建築条件の建築「一不異二亭」(アンフィニティー)

橋脚間上の木造部分が落ちないように土台と屋根を受ける桁で大きなトラス壁を構成し、離れた橋脚の上に掛け渡して、ちょうど長い大きな箱が、橋のように乗っている状態になっています。構造壁とするため、柱や桁の内外にOSB合板を貼り、それに塗装して内外の仕上げとしています。

「一不異二亭」開放感がある洗面台 デザイナーズ別荘
食卓から居間、暖炉、ガラス屋根のデッキ、寝室へと続きます

屋根は仕上げ材の板金下に空隙を設け、そこを軒先から吸い込んだ外気を通すことで、空気を太陽で温め、それを内部に通し、室内を正圧にして、開口部の隙間から外に吐き出すことで常時換気をさせています。温度と湿度センサーを設けて湿気や冷気は入れない仕掛けにしています。そのため、たまに行ったときに感じる別荘特有の湿っぽさは感じられません。

むしろ冬場など、玄関に入るとほのかに暖かくなっています。尚、この屋根からの暖気は押し入れの布団の隙間を通すことで、布団も乾燥させています。暖房はFF式ファンヒーターの暖気を換気の経路に組み込み床全体から、建物全体に回すようにしています。

林の中の洗面所「軽井沢の家」暖炉があるリビング デザイナーズ別荘
ガラス框戸を開け放った洗面台
「一不異二亭」開放感がある浴室 デザイナーズ別荘
90㎝外部にせり出た浴室ハーフユニット、屋根もガラスです

「寄居の家」

ステンレスの加工工場を経営されている方の別荘です。住まいと工場が近いため、仕事に左右されがちな生活を、リフレッシュさせる仕掛けとして用意した、快適なもう一つの世界のための別荘です。荒川の上流沿いの崖地の奥に建っていて、川向うまで見える見晴らしの抜群の土地に建っています。

寄居の家(別荘) アプローチ


計画的配慮:
日常の住まいより快適な居住空間を目指して、各所を丁寧な仕様にしています。
別荘に入るアプローチから別世界の雰囲気を演出するため、石畳の長いアプローチとそれに沿う白壁の長い塀を設け、塀にはステンレスの瓦風の笠木を被せています。玄関前にはステンレス製のキャノピーを設け、もう一つの世界を演出して、玄関に迎い入れています。

寄居の家(別荘) ポーチ 


食堂の上は吹き抜けにして、夕陽が高窓のステンドグラスを通して色とりどりの光を落としてくれます。食卓の高さに統一したリビングの収納にはテレビも組込、見る時は上下します。

和室の南東のコーナーの引き込み障子は、夜には襖にもなり、しかも襖紙はリバーシブルになっているので、趣向を変える演出が可能です。

洗濯機も洗面台の中に格納されてあり、使うときのみ台の一部を上げて使用します。屋根の雨水は集めて遠くに吐き出すようにして、外壁に跳ねっ返りの泥で汚さない配慮をしています。

寄居の家(別荘) ダイニング・リビング

 


「箱根の別荘」

別荘までのアプローチブリッジ

住まいのある自宅から車で1時間ほど乗ると別荘に到着できます。仕事場もある都心のビルの五階に住んでいて、自然の中でリフレッシュするために建てた別荘です。

内部に柱がないワンルームで、暖炉のフード下のプレートは三枚重ねで、下に垂らして炉を覆い、煙を制御することが出来ます

計画的配慮:
敷地が崖地のため、僅かある平らな部分に建て、道路からはブリッジになっているアプローチを通って行きます。

リビングダイニングは二階で、柱無しの6.3m角のワンルームで、4隅は出窓状のコーナー窓で、引き込みの障子と雨戸が設けてあります。構造的には2.7mの構造壁4枚で成り立っています。東北のコーナー窓にベンチと1.8m角の大きなテーブルを設え、その真ん中に暖炉を設けていて、そこでアユを焼いたり、バーベキューもできます。

 
ロールカーテンを上げた床の間

1階が寝室と和室になっていて、和室の床の間はフィックスのガラスで通常はロールカーテンを降ろして壁となっていますが、それを上げるとガラスの向こうに遠く富士山が見えるようになっています。


「glulam彎」

軽井沢駅から、しなの鉄道に乗って二つ目の信濃追分駅から歩いて15分の所に建っています。敷地北側に浅間山が目の前に大きく見え、南側は松林で手前に小川が流れています。

建物は湾曲しています。開口部はすべて雨戸で防御できます。

計画的配慮:
建物は、日常生活をリフレッシュさせるため、日常の住まいと違った世界として感じられるように、建物を湾曲させ、コの字型の中庭を組み込むなどして、内部空間も一室空間として繋がっていても、湾曲されてあるがゆえに全貌が一望できないようにしています。

ダイニングと外部デッキの上の垂木は先端の鼻隠しプレートで支えられていて、
開口部の上の枠から浮いています。

南の庭も湾曲した建物で囲んでいて、曲面の焦点辺りにアイキャッチツリーを植えています。コの字型のデッキスペースを設けて、外部でも食事ができるようになっており、防犯のため、デッキ部分も含め、南面の開口部すべてを雨戸で覆うことが出来るようにしています。ハイサイドライトからキッチンにも多少日が差し、風が抜ける仕掛けをしています。

内部空間は一目で全貌が見えないように湾曲しています。

「塩山の家」

川崎にお住まいの方が奥様の実家のある、山梨県の塩山に建てられた別荘です。日常のお住まいは鉄筋コンクリート造のマンションです。コンクリートや鉄骨造だと何となく体に変調をきたす気がするということで、自然や木に包まれて過ごしたいということで、建てられた家です。


計画的配慮:
木に包まれた空間にするべく集成材壁式構造のFM工法で建築しています。屋根も6.3mの梁間スパンに一枚の木造屋根中空スラブにして途中母屋や梁もその中空スラブの中に仕込み、見せないような掛け方をしている。北側の空間が暗くなりがちなので、中空スラブに穴を設け、陽光を落とすようにしています。(山梨県の文化賞を受賞)

 


佐倉の家

佐倉市に建つ、まさしくウイークエンドハウスです。
ゴルフに行く前後や友人たちが集まる場所にも活用しているようです。別荘としては珍しい鉄筋コンクリート造の家です。5m程の擁壁の下に建築する場合、崖地条例で崖上から30度の角度までは崩れても大丈夫な処置をする必要があり、そのためにRC造が選択されました。

道路からの引き込み通路です

計画配慮:
一階のリビングでは南の崖が迫ってくる感じがして気になり、二階に設けています。寝室へのブリッジから見た居間です。


建物の外壁の形状は西、北、東側が直線の四角形で、光も壁ではなく、トップライトから取り入れています。

 


南の外壁の形状は円弧を描いています。擁壁と建物で囲まれた半円の中庭には、水を貯めて水盤を形成することもできます。

 


2.ベースキャンプ 別荘

「夷隅郡の家」

奥様の実家のある房総の海も近い土地に建つ、魚釣り等の基地的使い方をする別荘です。別荘地ではなく、周りは一般の民家が建っている地域です。


計画的配慮:
道路から駐車場を通って入っていった玄関わきに釣ってきた魚をさばく流しを設けています。建物を開放的にすると、釣ってきた魚を食べながらワイワイすることでリフレッシュしている非日常的時間を、日常的に過ごしている近所の方に丸見えだと、なんとなく居心地悪いだろうと思い、周囲から隔絶できる中庭を設け、そこを中心に計画した家です。


海風で塩害を起こさないよう、殆どを木材で構成できるFM工法の内外集成材表しの仕上げで建てています。居間の照明にはプロジェクターを仕込んでいて、大画面で映画も楽しめる仕掛けもしています。


「東浪見の家」

房総の東浪見の駅から歩いて20分ぐらいの少し高台にあります。裏山の探検に出かけられ、海までも歩いてやはり20分ほどなので、海水浴やサーフィン等の基地にも最適です。広い敷地のため、いろんな遊びができ、家庭菜園なども可能です。


計画配慮:
敷地内の1m程の段差を活用して、擁壁を兼ねて20mプールをコンクリートで創り、内部の浴室の隣にサウナ室も設けています。レジャーから帰ってきたら、サウナで汗を流しさっぱりすることもできます。


「須坂の家」

長野県須坂市のスキー場の近くにある別荘です。ウインタースポーツの基地に使おうとして建てた別荘です。学校に勤めていたので、冬休み、春休みはもちろん、夏休みにも長期滞在が可能のため、子供さんが独立される頃までは、よく使われていたようです。


計画的配慮:
道路から建物までは基礎工事段階にコンクリートで広いブリッジを掛け、そこを駐車場としています。雪が降り積もったら、簡単に両脇に押す出すことが出来ます。そこから入ると、そこはリビングダイニングになっていて、その下階に寝室等があります。


暖房はシイタケの栽培用のボイラーを1階に置き、その暖気を二階の床下に吹き込んで全館用暖房とし、その煙突を玄関脇のスペースに通して、スキーの乾燥室にしています。

 
 

「河口湖山荘」

河口湖から十数分車で上ったところに建っています。床面積9坪ほどの広さで、最低限の設備と仕様の、まさにベースキャンプ的別荘です。


計画的配慮:
崖地勾配のある敷地のため、造成は行わず、基礎の高さで調整して、床レベルを設定しています。最低の仕様としても、何か+アルファ―として楽しめる要素が欲しかったので、テーブル暖炉を設けています。

 

 


3.敷地内(近隣) 別荘

「みつわ台の家」

日常の住まいのある同一敷地内に建てた、奥様の絵を描くためのアトリエとそれを飾るギャラリー、及びご夫婦の趣味のサイクリング自転車置き場とその修理スペースのための別荘です。


計画配慮:
普通の住宅地にあるため、その環境を気にせず済むように、東西を壁とし、南面のみ大きく開口部を設け、その他三方は風抜きの小窓以外、光を桁上の欄間から取り入れています。


ギャラリーへの採光はサンドブラストペアガラスを通すことで、周囲の日常性が視界に入らず、明るさのみ得るようにしています。前面道路のレベルから2m程敷地が高くなっているので、外階段脇に将来昇降機を置けるスペースを設けていましたが、最近検討しようと見積もりを取ったら、予想以上の費用に、やめて自転車の出し入れ用の斜路だけを設けました。(千葉県と千葉市の建築文化賞受賞)

 


「南林間の家」(リノベーション近隣別荘)

同じ敷地内に比較的新しいご両親の住まい(母屋)と、築30年の自分たちの住まい(母屋とは別棟)を持っている方が、ご両親が他界され、その家が空き家になったのを機に、自分たちの古い住まいを、全面リフォーム(リノベーション)した別荘です。
ご両親が使用していた母屋に自分らが移り住み、古家を解体する選択肢もありましたが、子供さんが三人おられ、誰かが使う可能性もあり、壊さず残すことにしました。ご両親の住んでいた住まいも十年以上経っていて、間取りと日差しの取り入れ方は今一つだったので、改修で快適な家になるなら、その方がいいということで始まった計画でした。

40年前の外部は殆ど既存を残しています。

計画的配慮:
南の日差しを遮っていた個室を別の所に移し、押し入れ等を取り払い、そこを広いリビングダイニングキッチンに全面改修しました。自分たちの建築予算に加算して、防衛省の防音工事助成金を活用しています。それによって、全面のボードを剥がし断熱材をいれ、天井も同様にし、床下も耐震改修費という予算で全面基礎補強を行い、その土間コンクリートに温水パイプを通して蓄熱ヒーターの暖房設備を追加しました。

食卓からリビング、外部デッキと続きます。
見える柱は以前押し入れがあって、ここは陽の差さない、照明の必要な部屋でした。

既存のキッチンは日の射さない北側に、茶の間は西日射す北西の角にありました。そのため「こんな暗い家に一生住み続けるのかと思うと耐えられない」という奥様の思いから始まった計画でしたので、改修後の激変にとても喜んでおられたはずでしたが、改修完成後に点検に訪れたときには、その改修した家に居住されていませんでした。
なぜ住まわれていないのか理由を尋ねると、このまま美しい状態にしておき、来客や娘の里帰り、ご主人の音楽鑑賞など、非日常的なことのために使う方が快適だ、言われました。
まさに近隣別荘そのものの使われ方をされていました。

 
 

 


「崖上桜の家」

家業を子供に引き継がせ、母屋を明け渡し、自分たちが別に住むための終の棲家ですが、引き渡すまで少し間があり、それまで家業を忘れ癒したい時、あるいは来客や非日常的空間として活用する、別荘的利用をする家です。

崖上桜の家 外観
擁壁の上に基礎が張り出して見えますが(写真左側)、荷重はかけてません。

計画的配慮:
母屋より居心地よく、癒される空間にするべく、春の桜はもちろん、周りの緑に囲まれ、その向こうに母屋の屋根が視界に入って来るようにコーナー窓を設け、広がり感のある間取りにしています。内部も小幅板の吸音天井にし、間接照明で内部を照らし、ホームエレベーターで上下移動ができ、蓄熱ヒーターで夏冬快適に過ごせる配慮をしています。

 

母屋に連続してある土地ながら、4m程の段差があり、使えるスペースが限られている土地です。そこにうまく嵌め込み、必要な機能を満たし、ロケーション的に有効に活用するには、大谷石の崖の上に多少迫り出す必要があります。擁壁は古いため、負担かけられず、しかも崖地条例の30度勾配ライン下で建物を支えるため、鋼管杭で地盤改良をしています。

キッチンから見たダイニングリビング

 


4.終の棲家となる 別荘

「茅野の家」

茅野の家 外観


当面は別荘として使用し、数年後に永住を予定して建てた家です。別荘地の条件として、境界に塀やフェンス等を設けず、境界からは5m離して建てる等の条件がありました。 建て主さんの条件としては、薪ストーブの設置が希望の筆頭で、その他はあまり細かく要望はされませんでした。

茅野の家 リビングからダイニング・キッチン

 

計画的配慮:
意匠的には奇をてらわず素朴な木造の大屋根の家垂木表しの構造を見せて、内装の意匠としています。開口部から庭や外部の自然の見せ方も、開放性と方向性を意識したコーナー窓にしています。

茅野の家 キッチンから


寒冷地であることによる設備等での凍結対策への注意をはらい、薪ストーブを通常暖房設備としてあてにしていいかどうか、よく検討しました。薪ストーブは、焚き口が閉じられていて、新鮮空気も外からストーブの中にダイレクトに吸い込む構造にすることで、煙突から排気する煙で室内の空気を吸い込み、外気の流入で温度低下しません。最近のストーブは燃焼性能もよく、大きな薪を数個入れておけば長時間燃焼し続けてくれます。火の番をする必要もありません。スープも煮込んでくれます。

茅野の家 ダイニングからリビング
薪ストーブとその背面の蓄熱壁

暖房としてあてに出来、寒冷地では有効な暖房設備となります。ただし今回は、別荘使用でもあり、着いてから燃やすのでは暖まるまでに時間を要します。そこで基本暖房は事前に暖めておける、深夜電力活用のヒートポンプ基礎蓄熱の全館暖房にしました。その上でストーブの効力を十分引き出すために、ストーブの背面の壁は、木造でありながら蓄熱性能の高いコンクリートブロックの壁にして、石を貼っています。そうすることで、ストーブの燃焼中はもちろん、火が消えても暖められた背面の壁からの放射熱で、かなりの時間、部屋を暖めてくれます。部屋が暖められていれば、蓄熱暖房の稼働時間も少なくなり、その分基本暖房の省エネにもなります。外の雪景色を見ながら暖かい部屋で、安心してストーブの揺らいでいる火を見ていることが出来ます。


「伊豆高原の家」

土地探しから協力させていただいた家です。決まるまで3、4回現地に通い一緒に見て廻りました。
最初は別荘として使用して、その後移住して庭づくりを楽しみたいということでした。しかし建ち上がったら、これだけ大きな既存樹の多い敷地は、庭造りの意欲をかきたてられたのか、予定を早めて移住され、写真の苔庭を見ればお分かりのように、庭造りに邁進されています。

伊豆高原の家 上空から


計画的配慮:
既存の樹木や竹林をうまく活用できるように、建物と各庭のバランスを考えて配置しています。駐車場も石畳にして、前庭の一部になるように考えています。

伊豆高原の家 ダイニングからコーナー窓


開口部からどう庭を見せるかに配慮し、竹林に合わせるべく、コーナー窓にも引き込み障子で雰囲気を変えられる仕掛けや、内外の各所に間接照明を仕込んで、様々な演出ができる配慮をしています。

伊豆高原の家 庭からデッキ
苔庭、デッキ、住まい、既存樹と続く

「那須の家」

もうじき定年を迎えるので、ゆっくり生活したいご夫婦のための家です。
数年別荘として使うはずでしたが、完成して間もなく入居されました。時々見える二人の子供さん家族や客用に、キッチン、シャワールーム付きの離れの部屋と三台分の車庫も設けています。

那須の家 アプローチ
北側アプローチ

計画的配慮:
敷地が広すぎるので、ただ建てては、所在なげな佇まいになります。そこで茶臼岳から吹き下ろす冷たい風を、L字型に配した建物で、南の庭を囲うように配し、全室から庭全体が見渡せるようにした平屋の家です。子供家族用の部屋は離れとし、ミニキッチンとトイレ及びシャワーも併設し、母屋とはデッキスペースを介して行き来します。その間に露天風呂用の浴槽を設け、天板を載せ、屋外リビングのテーブルにもなります。

那須の家 リビング
居間から離れや芝生庭を見る

東北の角部分は、水平感を強調するために、北と東の軒先の屋根だけを延長させ、中庭的スペースを作り、道路からの緩衝地帯ともしつつ、玄関、居間、洗面所、浴室等からの、眺めるプライベートコートとしています。この家は、FSU工法で建築しております。(詳しくはこちら「FSU工法」のページを参照下さい)

那須の家 リビングからダイニング
 
那須の家 デッキの露天風呂
母屋と離れの間のデッキに露天風呂浴槽を設置、普段は天板を載せてテーブルとなる

「安曇野の家」

都内に住まいはあり、たまたま子供さんが安曇野で働いていることから、いずれ安曇野に移住して住むことを予定している別荘です。
土地の購入条件で一区画の敷地の広さに制限があり、三区画購入し一区画が将来の変化に対応するために現在は駐車場にし、二区画に渡って建てることにし、母屋と離れの二棟からなっています。

安曇野の家 庭からの外観


計画的配慮:
母屋は通常の平屋の住まいとし、離れを来客や非日常空間と活用することを考えています。

安曇野の家 玄関
 
安曇野の家 玄関からリビングに入ったところ
 
安曇野の家 ダイニング
 
安曇野の家 和室 床の間
 
安曇野の家 リビング
 
安曇野の家 外観