日本の住まいから「 和室 」が消えつつあります。
結設計でも、和室を設計する機会がだんだん減ってきました。特に本格的な和室は少なくなっています。
かつては、マンションでも一部屋は和室でしたが、今はほとんどが洋室のみとなり、戸建て住宅でも、ハウスメーカー等で和室を作るにはオプションとして追加を出さなければならなくなっていたりします。
和室は不要、それが世の中の大半の人々の要望なのかもしれませんが、中には和室が欲しいと思われる方もまだまだいらっしゃると思います。
そういった世の流れのなか、「馬込の家」では本格的な和室(茶室)として京間で造ることになりました。和室の真、行、草の種類分けでは「草」になります。
六帖と八帖の続き間で、八帖には床の間と脇床があります。茶室として使用するので、炉を切ってあります。裏千家の茶室なので、六帖の寄付きには大炉と(写真では畳の下で見えません)丸窓、壁床があります。
梅をモチーフにしたいという建主様の想いもあり、床柱は梅の木となりました。建主様が銘木店で探したところ、たまたま梅の木が一本あったということで、これを床柱に使ったらどうかということになりました。
この梅の木は、かなり曲がっているので、どう使うか難しいところでした。施主様と大工の棟梁と私共で色々検討して、必要な条件を整理していくと、段々方向性が見えてきました。最後は、棟梁がうまく納めてくれました。
曲がっていることでより梅の木らしさが出たように感じます。
写真の採寸している畳屋さんは、京都の嵯峨藤本畳店さんです。畳は、茶室用の畳表で造っていただきました。
襖は、京都の表具工房の静好堂中島さんにお願いしました。
その後左官屋さんが内部の壁に、下塗りした後、仕上げのわら入り左官材を塗っていきました。丁寧に作業されていましたが、作業が速いです。あっという間に塗っていきます。
天井は、杉板クロスに竿縁。本当は、無垢材の杉板を張りたいところでしたが、建物を準耐火建築物にする必要があることから天井には石膏ボード(15mm)を張ることとなり、金額を抑えることも考え杉柾目の敷き目張り風クロス貼としました。その上に竿縁を取り付けています。
竿縁が杉の無垢材ということもあって、クロスであることに気づかないぐらい違和感がないです。
壁は、柱が見えているので真壁に見えますがこれも準耐火建築物にするために、石膏ボード(15mm)を構造柱を覆い隠すように貼り、大壁にした上に付け柱を取り付けて真壁に見せています。
隔てる欄間の欄間板には、梅の彫刻がある欄間板を施主様が古材店で探してきたものを使いました。そのままでは、枠が大きくてこの空間にそぐわない感じがしたので、枠を左官で塗り込み見えないようにしました。それによって、武骨な印象から繊細な印象に変わりました。
寄り付きには、壁床があります。壁の上の方にある竹釘に掛け軸を掛けます。
大工さんをはじめ多くの職人さんが仕事をしてくれることで、家が出来ていきます。
炉壇など、続きは次回に。
過去の物件の和室について▷「和室・床の間・飾り棚ギャラリー」としてまとめて紹介していますので、そちらも是非ご覧ください。
(加藤)