40年前設計のヴィンテージ住宅が購入者を求めています

40年前に設計した家の玄関アプローチで、鉄骨階段からも事務所に直接入れます。

40年前設計した家のエントランスポーチです。浴室廻りの土台含めて耐震補強され、内部の畳はフローリングに替え、外壁もサイディングから塗り壁にし、その際外断熱とLow-eの二重ガラスサッシに替えて、次世代省エネ基準を満たすレベルの性能にし、遮音性や断熱性及び耐震性も現時点の新築建物以上に向上している家です。そのリフォーム費用だけでも十年程前で1200万円要したとのことです。基本的間取りは殆ど建てた時のままで、今の自分には稚拙さも感じますが、当時の意欲も随所に見て取れます。(扱い仲介は作新台6(八千代台駅) 3950万円 中古一戸建て情報 | 不動産売買と注文住宅の小副川工務店 (osoegawa.com))担当秋元

外階段の下を自転車置き場にされています

建て主さんは造園の設計施工者で、奥様も華道を極められた、室礼(設え)の達人の御夫婦でした。ご主人に先立たれ、奥様一人で維持管理していくことが難しくなり、手放す決意をされたとのことです。これまでの長いお付き合いの中で、ご主人には庭の設計だけでなく、手品等の多趣味の方で、その発表会に度々招待頂きました。またお茶の達人でもあって、茶室等の勉強で、夕さりの茶事など、作法の手ほどきを受ける時、正客になって頂きスタッフ含め手本にさせて頂くなど、教えていただくことの多い方でした。奥様にも、尋ねていく度に、設えを始め、数多く教えて頂きました。単なる6畳間でしかなかった寝室の、入った向い壁に、床から30㎝ほど上に、杉の横板一枚を煤竹で吊ることで簡易床の間に設え、そこにさりげなく一輪挿しの花を置かれていたり、ただの下足入れの天板の上に、どこかの解体現場で見つけた古い板切れを少し浮かせて置き、その上にしだれ桜を垂れ下げるだけで別空間のように変身させたり、玄関を上がった床の隅に、水鉢を置き、そこに活けた花々を浮かべて吊り蝋燭で幻想的に照らすなどされて、尋ねるたびにいつもはっとさせられ、いたらない設計の家でもこんなに上手に使いこなせるのかと、今でも強く印象に残っているお住まいです。

最初は畳の茶の間でしたがフローリングの居間にされ、引き込み障子を開けたところです

当時は若かったせいもあり、ダイニングから連続する茶の間なのに、敢えて天井を高くするなど、変化を付けています。そのため二階寝室を階段4段分ほど床を上げるなどし、全体的にスキップフロアを多用した住まいになっています。

障子を閉めた居間で、右の壁際の置物はスタンド照明です。それも大きな書画も欲しい方には進呈するそうです。


ポーチの鉄骨の階段から車庫上の事務所に直接入ることができ、住まいからも行けるようになっています。事務所は打ち合わせスペースを有し、作業机は飛行機のコックピットのように、道路を見渡せるようになっています。その他、家中の空きスペースは殆ど収納に活用するなど、随所に工夫がしてあり、ある意味、人によっては使いにくいかもしれませんが、それを引き受けて、上手に空間活用する、懐の深い建て主さんでした。

事務所の作業机からは飛行機のコックピットのように前方が見渡せるようになっています。

絵画や書画、陶芸や古美術を趣味にされ多くを集められていて、いたるところに飾っていて、気に入っていただける方にはあげてもいい、とおっしゃっています。私も欲しいと思っている絵が何点かあります。奥様もスキップ床がさすがにきつくなってきて、娘さん家族のマンションの隣に住むことにされたようです。

数多く飾っている絵の一つで、私も欲しいと思っているものです。

今回、私達設計者が、なぜ古い住宅の売却の応援をするかというと、いい住宅だからや世話になった方の家だからはもちろんですが、それ以上に建築の市場での評価に、疑問を感じているからです。建物の本質的価値ではなく、流動性が評価基準になっている流通業界の経済構造が建築現場の望ましい技術の育成を損なう方向に導いていると思えるからです。その辺の話は以前のブログ(住宅のビンテージ化)を参照ください。今日、家の古さは、仲介事業者の査定(建物評価)では減価償却の観点から、マイナスになり、売主さんが注文を付けない限り、20年ぐらいでゼロ評価されがちです。そのため市場では古い価値ある家も、土地価格だけで売りに出されることが多くなっています。それで土地価格で一旦、建築事業者に売却し、リフォームをした上でリノベ物件として、新築の相場よりわずかに安い価格で、再度売りに出され、それによって流通事業者は収益上げるビジネスを成り立たせ、現場の建築関係者はその指示下に置かれ、いい建築より安く売れるために動くしかなく、優秀な職人が去っていく傾向があります。

この家の規模の場合、他の仲介者でしたら、クロスを貼り替えた程度で土地付きでかなりの価格でリノベ市場に出された可能性があります。たまたま関係者や建て主さんの住まいへの愛着がそうさせなかったと言えます。この家の場合はむしろ、築年数の長さは、数度の大きな地震に耐えた耐震性と、リフォームで性能を次世代省エネ基準で快適に暮せた証明になります。4人家族の住まい+事務所と車庫のある、同じ面積の家を、今作ろうとしたら建築費は倍でも、難しいです。万人向きではないかもしれませんが、好みが合って、使い続けてくれる方なら、と建て主さんの好意で決められた価格で、その上絵画や骨とう品共に譲って頂けることになった、極めて価値ある買い物と言うことができます。

以下、今飾られている絵の数点を掲載しておきます。

見事な書で、奥様の書の先生が直々に書かれたものだそうです。
この他にも多数あります。
お茶の趣味で集められた器のほんの一例です
書は居間の書と同じ先生のもので、壷等も欲しい方に差し上げるとのことです。

土地建物売却価格:3950万円

建物住所:千葉県千葉市花見川区作新台6丁目

敷地面積:133.47㎡(40.37坪)

1階床面積:54.24㎡(16.44坪)  2階床面積:69.66㎡(21.11坪) 

延べ床面積:住居部分 123.90㎡(37.55坪) 車庫部分14.91㎡(4.5坪) 

総合計床面積 138.81㎡(42.06坪)

購入を考える方は、メールで連絡いただけると、冒頭の仲介事業者に紹介します。