西八王子の家の南道路向かいには川が流れ、その両岸は見事な桜並木です。
この住宅は20坪弱ですが、通常私どもがいろんな家で培ってきた家づくり作法(手法)が随所に込められています。小幅板の吸音天井はもちろん、寄棟の屋根とコーナーのフィックス窓、小上がりの畳の茶の間、奥行の深いキッチンカウンターと配膳台、二階建てでの将来用バリァーフリー対策、ハーフユニットの風呂と大きな窓、食事もできる屋外二階デッキ等々。
というのも、同じ規模で建っていた旧住まいを、構造的には何ら不具合がないのにもかかわらず、壊してまで、私どもが建てている家の雰囲気の家が欲しいから、と依頼されて来たからです。設計者冥利に尽きます。確かに面積的に小さい分、単価的にが厳しいところもありましたが、最初の希望以外、全て任せていただき、それが功を奏して、それなりの出来栄えになれたのではと思っています。
設計者との家づくりは任せられる価値観と感覚で共有できるかどうかが分かれ目であろうと思われます。そして任せるのであれば、自分の意向と多少違ってしまうことも許容する度量を持っていただきたいというのが、設計者の偽らざる心境です。設計者は最初、誰よりもその家を設計者なりの全体的バランス感覚で、可能な限り素晴らしいものにしたいと思っているからです。西八王子の家はそのような意味で気持ち良くやれたケースです。
内覧会は、来週末6/7(土)です。詳しくはこちら。
下は現場監理中4月に、屋根の上からとった桜の写真とその後できた俳句です。
「 桜蕊(さくらしべ) 降りて 還らざる 日々と知り 」