現場の設計監理にはこれまで数千回は行っているはずです。なのに最近さらに楽しい気がしています。特に意欲的現場監督や職人さんと直に話しながらどう納めるかの話が楽しいのです。
お互いの立場からだけの会話ですと何となく仕事という感じになってしまい発展しません。でも直の話ですと、最初は型どおりの反応ですが、こちらの立場を越えて建築する者どおしとしての話がしたいという気持ちが分かってもらえると、純粋の技術論になってきます。納まりのきれいさ、材料使いや歩留まり、設計意図、作業性、費用、構造的合理性、機能、性能、耐候性、等々、あるべき姿を純粋に建築技術者としての話になってきます。若い頃、自分も工務店の監督を数年やっていたせいか現場で考えることが好きなのかも知れません。
お互い未体験で、新たなより良い納まりを一緒に模索しようとしている時、本当に今ここで創っているという気がして楽しくなります。お互い経験が豊富な場合、常識的な納め方はわかったうえで、この場合もうちょっと違ういい納め方がありそうだと双方が感じています。それを会話の中で編み出せたとき、思わずお互い顔がほころんできます。
間に工務店の社長とか事務所のスタッフなど、誰かが入っての会話ですと伝言になってしまい、なぜか、聞く人、答える人、という関係になってしまいます。それですとお互いの立場からの要求になってしまいキャッチボールになりません。今ひとつ気持ちの高揚が少ない気がします。
写真は先日軒を1.5m出したいが、単純に垂木を太いものにするのでは芸がない。ケチっては将来先端が波打ったようになる。吹き上げにも耐えられなければならない。壁際の断熱材やサッシとの取り合いもスマートにしたい。手間と材をかければどんなこともできなくはないがうまいやり方ではない。軒裏の下地の野縁や間柱を活用しよう。等々やり合ってできた下地のひとつです。クリックしますと大きくなり、角材の先端がどうかみ合っているか見えます。