大正7年築の神谷伝兵衛別荘の驚きの工夫

千葉市稲毛に,日本のワイン王と言われた、明治の実業家神谷伝兵衛が大正7年に建てた別荘が無料で一般公開されています。浅草の「神谷バー」や茨城県牛久のワイン醸造場「シャトーカミヤ」の創始者としても有名です。

日本初期の鉄筋コンクリート造で関東大震災にも崩れることなかった洋風建築ですが、数多くの建築上の工夫がなされていて、驚きの工夫は最後に掲載しました。


二階内部は和室になっていて、床の間もそれなりの贅を尽くしています。


木製の丸窓ですが、ちゃんと開閉いたします。


この猫間障子の材料はタガヤサンという木材だそうです。確かに高価な木材で、大工としては使ってみたかったんでしょうが、障子の桟としては木目が荒く、同じ建築屋としては、どうなんだろうかという気もします。


建築の細工としてはなかなか遊んでいます。


透かし彫りに蜂も飛んでいます。


照明の吊具は木製とのことには驚きです。


階段コーナーの漆喰の飾り棚ですが、よく見ると棚上の壁は直角で棚下は円弧を描いています。


上って行く時の視線の高さに合わせた位置に棚を設定しています。

そこで見つけた超現代的網戸です。地下室があるからできた工夫です。電力は使用せず、自重と重しとのバランスで構成されているようです。現代でも使えそうな工夫です。


神谷邸と並んで千葉市民ギャラリーが併設されていて、そこでは、特殊鉋や大鋸などの木工刃物が展示されていました。(刃物展は1月15日までとのこと)

神谷伝兵衛にあやかるつもりではありませんが、彼が始めた「カミヤシャトー」のある牛久市で、私たちが工夫したFSU工法の住宅が、1月27日から建込が始まります。その工法で岩手、栃木、兵庫で、すでに計十数棟建っていますが、東京近在では初です。この工法技術を公開し、多くの建築關係者に使っていただこうと思っていて、現場説明会も2月22日に予定しています。もし建て込みそのものに興味ある方はご連絡いただければ、その時と場所をお知らせします。