住宅などの建物を建てようとして土地を購入する際に、判断材料として土地にまつわる色々な条件があります。
①場所 (最寄り駅からの距離・バスを利用するかなど)
②土地面積
③土地形状(整形・不整形・狭小地など)
④価格
⑤住環境 (陽当たり、風通し、道路づけ、騒音、臭気・密集度など)
⑥周辺環境(学校・病院・スーパー等店舗・公園などまでの距離)
⑦登記簿上の記載(地目、権利の別など)
⑧土地の法的な制限(建ぺい率、容積率、市街化区域、都市計画区域、防火地域、接道条件など)
⑨敷地内高低差
⑩周囲との高低差
⑪既存建物の有無
⑫建築条件付きかどうか
⑬地盤の状況
⑭インフラの整備状況(道路や、上下水道・電気・ガス・通信の引込状況)
これら土地にまつわる諸条件のうち、①~⑥の条件をメインに土地を選んで、買うかどうかの判断をしている方が多いと思います。予算内で少しでも①~⑥の条件が良い土地を探すようにしているということですね。
①~④は折込チラシや情報誌、不動産屋さんの店頭ポスターなどで見ることができるので、チェックしやすい条件といえます。しかし、この情報だけでは、本当に家を建てるのに向いているか、契約しても良いかどうかを判断するのは難しいと言えます。
⑤⑥は、現地を訪れなければよく分からないですが、訪れてみれば視覚的にわかる条件です。
しかし、建物を建てようとした場合は、①~⑥よりも⑦~⑭の条件が重要になってきます。この条件次第で、建築費や諸経費が大きく変わってきますし、そもそも希望の建物を建てられないということもあり得ます。
家を建てようと購入した土地に、家が建てられないのでは、自分にとっては土地の価値はゼロになってしまいますので、まずは、その土地に建物が建てられるかどうかということを確認しなければなりません。
そのためには⑦と⑧を調べる必要があります。例えば、農地や市街化調整区域には原則として住宅は建てられません。(例外もあります)
建物を建てようとした場合に、その敷地が巾4m以上の道路に2m以上接していることが絶対条件となるため、事前調査が必要です。その敷地に接していると思われる道路らしきものが、法律上「道路」として認められているものなのかどうかも問題になります。幅員4m未満の道路でも「2項道路」と呼ばれる道路であれば建築可能ですが、セットバックが必要ですし、そのセットバックの基準になる道路中心線はどこかなど、役所に行って確認する必要があります。
建てられることが分かったら、次に考えることは、建物を建てる際に余計な費用がかかるかどうかです。その大きな要因は、⑧の法的な制限です。防火地域指定がある場合は、鉄筋コンクリート造や、窓を防火設備(防火戸)にする必要がある場合等は数百万円単位で工事費が変わってきます。
その他、条例で定める風致地区の指定がある場合は、植栽をしなくては行けなかったり、敷地境界線から建物を離さなくてはならなかったり等の制限を受けます。
⑨⑩の敷地内・外で大きな高低差がある場合は、擁壁や地下をつくったりするなどで、100万円単位の費用が必要となる場合があります。
⑪既存建物が敷地内にある場合、その解体処分費は、木造住宅で坪あたり3~4万円の費用が掛かります。(地域によって変わります)
⑫建築条件付きの土地は、法令による規制とは違い、ハウスメーカーや工務店などが独自に設定しているものです。
土地を購入する場合は、指定のハウスメーカーや工務店で建物を建てることが条件になっています。業者によっては、間取りなどに制約がある場合があるので、間取りを自由に考えたいという方は、知らずに購入すると問題になることがあります。
⑬の地盤状況は、地盤調査が必要になります。調査費用は、一般的な住宅の目安としては5~8万円程度です。
地盤調査の結果で軟弱地盤と分かった場合は、杭や地盤改良で補強をすることになり、一般的な目安は70万から120万円程(数百万円かかる場合もあります。)の費用が必要になります。(費用は建物の大きさや地盤状態により変わってきます。)
⑭上下水道などのインフラの引き込みを新たにするには、数十万単位の負担金が必要になる場合があります。
これら⑦~⑭の条件から出てくる諸問題は非常に専門的で、専門家である設計者であっても色々な調査や、計画案の作成の中で出てくる問題の抽出無しには、総合的に判断するのは難しいことです。
(加藤)