新宿の都心にある病院にお見舞いに行く機会がありました。その部屋の大きな窓からは、普段下から眺めるだけの高層ビルの窓を同じ高さから眺めることができます。予想外にその距離が近く、オフィスビルで会議中のサラリーマンが見えたり、ホテルの客室の障子が半分空いている様子が見えたりします。味気なくてあまり居心地が良くない病室にいると、普段は何気なく見過ごす風景からも、あれこれ想像してしまうものです。真正面には村野藤吾設計の新宿ワシントンホテルが見えます(写真は近景)。朝日や西日を受けてヌメヌメと輝き、また夜は小さな窓から光がポツポツと浮かんでいる様子は、ぞっとする感じの美しさで、都庁よりもヒルトンよりも惹かれるものがありました。以前宿泊した時は、その窓の小ささに息苦しさしか感じられませんでしたが、あれだけ美しいフォルムのためならば、極端に小さい開口部も、新宿という眠らない街に対する割り切りなんだと、妙に納得できるのでした。(青島)