前回紹介した「無垢厚板壁の家の熱帯夜での睡眠 ~十年前の建主さんからのお便り1」のブログの続きです。
建て主さんから、最近の高騰する電気代、 太陽光発電 の設置、エコキュート、基礎蓄冷熱設備、建物の蓄熱性、等々、寝室のエアコンや熱帯夜の睡眠に関連して、まさにタイムリーな相談メールを頂き、私からの返信メールで始まるやりとりを紹介させていただきます。 前回のブログはこちら→
「 太陽光発電 」相談への返信
A・N 様
大変ご無沙汰しております。返信が遅くなりすみません。返信できずにいたのは、自分の怠惰もありますが、ソーラー発電をどうするかという課題は、ソーラー発電をすべきではあるが、どのメーカーでどう工事をするべきか、蓄電池も設置するか、ゼロ円で設置しますと言うところもあったり、海外メーカーの特に中国メーカーが安いということで設置し、遠い将来廃棄する場合についてはどうするかなど、どこも確かなことを謳っておらず、補助金も各県色々流動的で、結論出せずにいたからでもあります。太陽光発電設備の設置助成事業|東京都 こちら(tokyo.lg.jp)
A・Nさんの家は、南向き切妻屋根、基礎蓄冷熱設備、エコキュート、木の無垢材を使った工法(FSU工法・FM・DEWS工法)と、確かにソーラー発電向きです。
今、売電価格が買電価格の半分以下でもあり、設置するなら、できれば蓄電池も一緒に設置すべきと思います。蓄電池を設置しないなら、照明以外のすべての機器を夜間ではなく、昼間に稼働させたいところです。設置工事は、工事者や設計者に頼まなくても、A・Nさん(の調査と整理能力)なら自分で直に依頼した方が安上がりです。
どの程度のKWのパネルと蓄電池を置けばよいかも(代理店が)アドバイスしてくれるかと思います。
将来のEV自動車についてもどうしたいか、予算はどう考えているか、等も話して、見積もって頂くといいです。代理店を紹介しますので、一度来ていただいて、状況を話して見積もって頂くのがいいかと思います。
屋根の図面や年間の電気使用量と予算含めて書面化してメールし、最初に凡その見積もりを頂いてから会うのもありかと思います。ここ一年分の電気料金の領収書を用意しておくと、どの程度のワットのパネルと蓄電池があればいいかもアドバイスしてくれると思います。
なにか懸念があれば連絡ください。手伝えることはします。最終的に完成したら、経過も含めて教えていただけると、私たちの参考にもなり、ありがたいです。よろしくお願いします。
結設計 藤原
「太陽光発電」EV自動車への蓄電 職場の事例
結設計 藤原様
お世話になっております。ご返信ありがとうございました。アドバイスのとおり、ひとまずご担当者様にメールをしてみました。お話を聞いてプランを詰めていきたいと思います。
電気代はけっこう節約している方だと思うのですが、年間で37万ほどでした。これで深夜電力が1.5倍になるとなかなかのインパクトになりそうです。
蛇足の話ですが、静岡の会社の3階建ての事務所ビルには自家消費用の太陽光パネルを設置して、V2Hの設備を導入しております。
最初は蓄電池として三菱の軽EVを購入したのですが、電池容量が少ないのと、たまに車として使うときに航続距離の短さがネックになりすぐに売ってしまったのですが、この夏再チャレンジということで、日産のリーフ(電池容量:40kwh)中古を150万ほどで購入しました。新車は電池価格が上がっているためどんどん値段が上がっていますが、程度のいい中古EVは電池容量から考えると相当コスパがいいと思っています。事業用だと太陽光パネルは特別償却ができ、中古のEVは単年一括償却ができるので、個人よりも決断が早く進められますので、導入検討が楽でいいです。
日中の太陽光を電気やエネルギーに変えて貯めておく、というのはいいソリューションだと思っているので、家でも会社でも積極的に導入していきたいと思います。また経過報告させていただきます。
S市 A・N
A・N様
色々職場での事例状況等含め、ご教授ありがとうございました。
そうなんです。ソーラーはどうすべきかは、なかなか簡単には判断をしにくいところがあります。
日産リーフ40KWの蓄電池ですか、確かにそれが一番コスパよさそうですね。当然V2Hを設置してパワーコンディショナーもそれに対応したものにしてあるということですね。さすがですね。よろしくお願いします。
結設計 藤原昭夫
パネルの遮熱効果やリース活用
結設計 藤原様
お世話になっております。藤原さんの仰っていることもよくわかります。
廃棄まで考えたソーラーパネルのライフタイムマネジメントはまだ道半ばとも言えますが、これだけ灼熱の太陽光線が注ぐようになった昨今、太陽光発電でその光を電気に変え、かつ屋根材の一部としての遮熱効果もある太陽光パネルはそれなりに有用なものだと思います。要は見積次第ですが、リースを活用しようと考えています。
これだけ電気代が上がってくると、リースの手数料を考慮してもすぐに入れるべきかな、と思っています。
10年前はFITで稼ぐのだ、という流れがあったので、パネル価格も高く、また技術的にも発展途上でちょっと歪んだ構造でしたが、売電価格が下がり、稼ごうという欲も削がれ、技術的にもこなれ、価格も安価になった今は導入時期としては適しています。
S市 A・N
以上が現在までのメールのやり取りの凡その文章です。他にも見積もりやシミユレーショングラフ等も頂いていますが、いくらか割愛させて頂いています。
蓄電・蓄冷熱と家づくり
東日本大震災での計画停電当時以降、売電利益を期待してソーラー発電を設置する建て主さんが一気に増えました。
昨今では売電利益もそれほど見込めず、電気代の高騰により売電するより自家消費の目的で設置される方が増えている流れになっています。
今回の十年前の建て主さんのメールで仰っているように、発電は昼間に限られるので、以前にお薦めした、(1年前に太陽光発電についてまとめたブログです→)電気の使用効率が約1/3ですむヒートポンプ室外機でつくった冷水・温水を昼間のうちに基礎の中に配管で回してコンクリートを蓄冷熱させ、日暮れからゆっくり放出させて家全体を蓄冷熱する基礎蓄冷熱設備の家が極めて有効な時代になってきたと言えます。
尚、無垢の木材を使用した工法(FSU工法)だとより蓄冷熱が効果的ですが、通常の在来木造工法でも十分効果的であることは数多くの事例で実証済みです。
(在来木造設計事例の建主さん夏の熱帯夜の睡眠にお薦め石神井公園の家 (yui-sekkei.co.jp))
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