必要なものはLove

サッカー日本代表が、先月まではちょっと想像できなかった快挙を果たしました。

ターニングポイントは5月24日の韓国戦、ワールドカップ前最後の国内試合だったのではないでしょうか。メンバーが固まった後であるあの試合で岡田監督への批判はピークに達しましたが、選手への批判というのは非常に少なかったように感じられました。今思うと、岡田監督の記者会見なども批判は自分に集中させようとする意図があったのかもしれません。結果論ですが、選手たちとしてはピッチに立っているのは自分たちであり、監督に対して申し訳ないという気持ちが強まるのはある種必然だったのではないでしょうか。元より岡田監督はとても頑固で負けず嫌いの人情派らしいので、選手側と強い結びつきを得られれば非常に固い「チーム」を作ることはそれほど難しいことではなかったのかもしれません。恐らくメンバーが固まるまでは本当にチームとしてまとまるのは難しいでしょうから、韓国戦後に監督批判がピークを迎えたというのはチーム内の結束を固めるのにこれ以上ないタイミングだったのでしょう。

その後、イングランドやコートジボワールといった本当に強いチームとの練習試合で「あのレベル」での出来ること、出来ないことが見え、先発メンバーも変わってきました。本番のカメルーン戦ではベンチまで肩を組んでの国歌斉唱という結束感を持って挑み、とにかく得がたい勝利をつかみました。その後、長谷部選手の「監督を男にしたい」などという発言も飛び出し、映像などを見ていても先発から控えに回された選手の表情も何となく晴々して見え、チームの雰囲気のよさが伝わってきました。オランダ戦では敗れこそしたものの、初戦では見られなかった攻撃への形が現れはじめました。これは初戦、及び当試合の前半戦で、ある程度守れるという自信を持てたからこそ生まれた動きだったのでしょう。そしてデンマーク戦はさらに一段仕上がった状態で迎えることが出来て、3戦同じ先発という疲労も上手くコントロールし、勝つために必死の格上の相手に3点取って勝つという結構すごいことをやってくれました。私は開催前、日本人監督でワールドカップに挑むのは無理があるのではないかと思っていましたが、今回の日本の躍進は日本人監督でなければ難しかったでしょう。

奇しくも決勝トーナメント進出を決めた6月25日はマイケルジャクソンの命日で再び「This is it」を鑑賞しましたが、彼がリハーサル中に何か問題を指摘するときに「with love」を強調し、ダンサー、スタッフ、バンドが一体となる雰囲気作りに努め、その上で「観客に日常を超えた経験をさせよう」と全体を盛り上げていく姿に日本代表が重なり、これは恐らくどんな人間関係にも共通して必要な姿勢なんだろうと改めて感じ入りました。非常にシンプルながらも簡単ではないことですが、自身にも反映させて行きたいところです。

まさに日常を超えた高揚感を与えてくれている岡田ジャパンには出来れば現地で声ある限りエールを送りたいところですが、ちょっと無理なのでせめて最後までしっかり楽しませて貰おうと思います。そして、いつか日本が消えたとしても、残ったチームがどのような基盤の元で戦っているか調べてみるのも興味深いと思います。

蛇足ですが、私の愛するオランダのロッベンが最終戦でちょっと出て来て良い動きをしていたようです。しっかり休んだし決勝まで日本とは会わないので最高の活躍を期待してます。

2006のユニフォーム