緑に覆われ、少し前の宮崎駿アニメに出てきそうなこの建物は、登呂遺跡の敷地に建つ芹沢美術館(設計:白井晟一)。外壁を這う「夏ツタ」は、吸盤のある「巻きひげ」で塀や壁をよじのぼる性質があるそうで、荒く積まれた割り肌の御影石もツタを這わせる事を前提としたものと思われます。空間の変化に富む美術館内部とは逆に、建物のボリュームを抑え遺跡公園の緑に同化するかのように佇む姿は、完成直後よりも20年の年月を経た現在の方が設計者の意図した完成イメージに近いのかもしれないと、遠く思いを馳せたのは6月の事。季節はもう10月ですね・・・。(中嶋)