住宅の設計をする際、いつも家族条件等全てが確定しているとは限りません。今回の住宅も、二世帯住宅にするか、誰が一緒に住むのか、はっきりしないまま計画が始まりました。子供達が複数いるとき、あるいは結婚してないとき、転勤があるとき、等々家をつくる時と、条件が整う時とは必ずしも一致するとは限らないのです。そんな時は、将来起こりうる家族の変化のあらゆる可能性に対応しつつ,敷地の持つ可能性や特徴をフルに活かすような計画に努めます。
所在地:東京都多摩市
構造:木造2階建て + 鉄筋コンクリート造 地下1階
敷地面積:328.93平米(99.50坪)
延床面積:199.29平米(60.29坪)
施工:本間建設株式会社
担当:藤原・藁科
この家の特徴は、将来の可能性に対応して、玄関を二つもっている事です。西側一階と、東側の地階に、二世帯になった場合を想定して二つ設けました。
造成地の擁壁の範囲内に計画した場合、南北に長い家で、庭がなくなり、南の日差しを得られる部屋がなくなります。かといって擁壁を壊してつくり直してはとんでもない費用がかかってしまいます。そこで敷地の可能性を遺憾無く発揮するために、そのよう壁を跨いで計画をしました。不可解な外階段があったり、地下室の壁が擁壁に続いていたりしているのはそのためです。擁壁の間に地階の玄関があるかのようにみえます。
西側の玄関が正式の玄関です。
地階の玄関からは階段室に通じます。
階段の手すり代わりの、光を取り入れる格子壁です。
寝室と居間の間に書斎が半開放的な状態であります。
開放感のある東南の角に食堂を設け、カーテンではなく、引き込み障子にしています。
二階にも食事出来る大きなベランダを設けています。