旗状敷地の奥にある、集成材壁式工法の家です。最近この工法が少なくなってきたのは、何棟か建ててくると設計者がどうしても新たな試みをしたくなり、工法の特性を逸脱して工事費を嵩ませてしまいがちになるからです。在来の軸組工法の場合も同じですが、特性に合った建て方ならリーズナブルな予算内ですみますが表現したい事が先に立つと予定内で収まらなくなります。
この家は敷地形状こそ旗竿状ですが、シンプルな形状のため、素直な切り妻屋根の形状にまとめられたので、なんとか予算内に納める事ができました。
外壁は、いつもの木の色調ではなく、建て主さんの意向で白を優しくまぶし、素材の持つ主張が柔らくなりました。一つ表現のボキャブラリーが増やす事ができた気がします。
玄関は廊下や階段と一体化する事で広がりを持たせています。
ドアの向こうは玄関収納ですが、開けると、収納側からも、玄関側からも使用できる下足棚です。
階段の蹴込み板を無くし、廊下の明かり取りにさせてもらいました。
二階内部空間は、素直な大空間になっています。
キッチンはいつもの対面式ではなく、建て主さんがメーカーと話し合いながら特注でつくったもので、私達にとっても、とても新鮮な体験でした。
子供室は二階と一階に分け、小さいうちは二階はオープンにして、階段スペースで隔て、居間と一体で生活されています。
洗面所も子供部屋になる予定から洗面台が表しになっています。
内部の色調は、集成材をそのまま表す部分と和紙を貼った部分を半々ぐらいにすることで、素材の主張を全面に出さない、柔らかい表現にできたかなと思っています。集成材等の木を使用した工法は、木がむき出しになるかのように思われている方が多く、このように全面的に和紙を貼って普通の木造のような仕上げをする事は容易にできます。
所在地:埼玉県草加市
家族構成:夫婦、子供3人
構造:DEWS工法2階建て
敷地面積:322.19平米(97.46坪)
延床面積:130.70平米(39.54坪)
施工:笠井木材株式会社
担当:藤原・柳本・藁科