当面は「 別荘 」として使用し、数年後に永住を予定している住宅です。建て主さんは十年程前の内覧会に来られて、その後定年退職されて改めてお見えになられました。
別荘地の条件として、境界に塀やフェンス等を設けない、境界からは5m離して建てるなどの条件がありましたが、建て主さんの条件としては、薪ストーブの設置が希望の筆頭で、その他はあまり細かく要望はされませんでした。
寒冷地であることによる設備等での凍結対策への注意はもちろん、暖炉や薪ストーブを通常暖房設備としてあてに出来るかどうか、計画の際には吟味しないといけません。
というのは特に暖炉の場合、焚き口が空いているので燃焼が不完全ですと煙が室内に充満することになり、誰かが火の面倒を見てないといけません。そのため忙しいと、常に燃えているとは限りません。また燃焼させるためには煙を吸い上げる、太く高い煙突が必要です。そしてそれだけ同じ量の冷たい外気が室内に流入されることになり、室内の温度低下をもたらします。暖炉は火を楽しむ程度にした方がよさそうです。
その点、薪ストーブは、焚き口が閉じられていて、新鮮空気も外からストーブの中にダイレクトに吸い込む構造にしておけば、外気の流入で温度低下になりません。最近のストーブは燃焼性能もよく、大きな薪を数個入れておけば長時間燃焼し続けてくれます。火の番をする必要もありません。スープも煮込んでくれます。
暖房としてあてに出来、寒冷地では有効な暖房設備となります。ただし今回は、別荘使用でもあり、着いてから燃やすのでは暖まるまでに時間を要します。そこで基本暖房は事前に暖めておける、深夜電力活用のヒートポンプ基礎蓄熱の全館暖房にしました。
その上でストーブの効力を十分引き出すために、ストーブの背面の壁は、木造でありながら蓄熱性能の高いコンクリートブロックの壁にして、石を貼っています。そうすることで、ストーブの燃焼中はもちろん、火が消えても暖められた背面の壁からの放射熱で、かなりの時間、部屋を暖めてくれます。部屋が暖められていれば、蓄熱暖房の稼働時間も少なくなり、その分基本暖房の省エネにもなります。外の雪景色を見ながら暖かい部屋で、安心してストーブの揺らいでいる火を見ていることが出来ます。
ストーブ後ろのコンクリートブロックの壁など、工事中の様子はブログ記事でも紹介しています。併せてご覧下さい。
写真撮影:齋部 功
所在地 :長野県茅野市
家族構成 :夫婦
構造 :木造2階建て
敷地面積 :1245.01平米(376.62坪)
延床面積 :138.77平米(41.86坪)
施工 :株式会社 宮沢工務店
設計監理 :結設計 藤原・藁科